低髄液圧症候群とは
低髄液圧症候群とは、脳脊髄腔から髄液が漏出することによって髄液が減少し、頭痛、頚部痛、目眩、耳鳴り、視機能障害等の様々な症状が生じる障害を言います。
脳脊髄液減少症、髄液減少症、髄液漏などとも言われます。
低髄液圧症候群の特徴的な症状としては、起立性頭痛という症状が挙げられます。
髄液が減少したことにより、起立時に脳が下にある硬膜と接触することによって生じる頭痛であり、横になった時に痛みが軽減すると言われています。
低髄液圧症候群の治療方法としては、絶対安静にして自然回復を図るという方法もありますが、症状が改善しない場合には、ブラッドパッチが用いられることも数多くあります。
ブラッドパッチは、被害者の血液を髄液が漏出している部分に注入し、血液の凝固作用によって髄液漏出部分の穴を塞ぎ、髄液が生成されるのを待つという方法です。
低髄液圧症候群の後遺障害等級
低髄液圧症候群が認められた場合、一般的には12級や14級の後遺障害等級に該当すると言われています。
もっとも、脳・脊髄という中枢神経系の障害であると捉えれば、理論的には、9級、7級、5級等の後遺障害等級の可能性もあるとも言われています。
未だに確立していない障害
低髄液圧症候群については、様々な研究が重ねられており、いくつかの診断基準も公表されております。
裁判においても、これらの診断基準に則り、後遺障害として低髄液圧症候群が主張される例が多数見られるようになりました。
しかし、診断基準それ自体が医学上も争いになっていることもあり、低髄液圧症候群の発症自体が否定されたケースや、発症が肯定されたとしても事故との因果関係が否定されたケースが後を絶ちません。
後遺障害として認められること自体が非常に難しい障害でありますが、近年では、ブラッドパッチが保険適用となるなど、少しずつ被害者保護に向かっていると思われます。
低髄液圧症候群が疑われる場合には弁護士に相談を
低髄液圧症候群が後遺障害として認められるか否かは、損害賠償の金額に大きな差を生じさせるため、非常に重要な問題です。
特に、低髄液圧症候群は、これまでむち打ち損傷において他覚的所見がないと判断されていたものについて、髄液漏による症状と説明することが可能となり、その結果、これまで他覚的所見がないとされてきたものが後遺障害として認められることになるという意義を持つとも言われています。
また、低髄液圧症候群が生じるケースでは、治療期間が長期間に及ぶことも少なくなく、仮に低髄液圧症候群が否定されてしまうと、治療費や休業損害がほぼ認められないことにもなりかねません。
したがって、低髄液圧症候群の発症や因果関係を認めてもらうことが非常に重要となりますが、診断基準が確立していないこともあり、発症自体が否定されたり、事故との因果関係が否定されたりすることが少なくありません。
低髄液圧症候群を認めてもらうためには、専門医による支援や専門的な知識・経験を持った弁護士によるサポートが必要です。
起立性頭痛があるなど低髄液圧症候群が疑われる場合には、低髄液圧症候群に強い弁護士にご相談下さい。