むち打ちの後遺障害等級認定に強い弁護士

むち打ち症とは

むち打ち症とは、一般的に、事故の衝撃によって首がむちのようにしなったために生じる症状の総称と説明されています。
診断では、むち打ち症のほか、むち打ち損傷、外傷性頚部症候群、頚椎捻挫、頚部挫傷などといった様々な診断名が付されることがあり、症状も、頚部痛、腰痛、頭痛、目眩、吐き気、手足のしびれなど多岐にわたります。

むち打ち症は、一般的には、原因や症状によって以下の5つに分類されています。

(1)頚椎捻挫型

頚部(首)の筋肉や靭帯、関節等の損傷が原因となって生じるものです。
頚部を指で押すと痛みが生じたり(圧痛)、動かすと痛みが生じたり(運動痛)、動かすことができない(運動制限)といった症状が主に見られます。
神経症状は認められないか、認められても一過性であり部分的であるとされています。

(2)神経根症状型

脊髄から出ている神経の根元(神経根)が圧迫されたり、刺激を受けたりすることによって発生する症状です。
頚椎捻挫型の症状に加え、手のしびれや知覚障害、筋力の低下、反射異常といった症状が見られます。

(3)バレー・リュー症状型

原因については様々な議論がありますが、一般的には、頚部の交感神経が過度に緊張し、頚部の血流に障害が発生することによって生じるとされていますが、心因性の影響も考えられるとされています。
頭痛、目眩、耳鳴り、吐き気、視力低下、聴力低下等の自覚症状が見られると言われています。

(4)神経根症状、バレー・リュー症状混合型

神経根症状型の症状に加えて、バレー・リュー症状型の症状が現れる場合を指します。

(5)脊髄症状型

脊髄の損傷を原因とするものです。骨折や脱臼がなくても生じるため、「非骨傷性脊髄損傷」とも言われています。
症状は、手足のしびれや知覚障害、歩行障害が見られ、膀胱や直腸に障害が生じることもあるとされています。

むち打ちによる後遺障害

むち打ち症のほとんどは、後遺障害を残さずに治癒するとされています。
もっとも、神経根症状、バレー・リュー症状、脊髄症状が存在する場合には、後遺障害が残る可能性があると言われています。

むち打ち症によって後遺障害が認められる場合、後遺障害等級は、
① 14級9号(局部に神経症状を残すもの)
② 12級13号(局部に頑固な神経症状を残すもの)
のいずれかになるのが一般的です。
そして、後遺障害の存在が医学的に「証明」できる場合が12級、医学的に「説明」可能な場合が14級とされています。

医学的に「証明」又は「説明」可能か否かは、CT、MRI、X線等の画像所見、神経学的検査による所見の有無が重要になります。
神経学的検査には様々な方法が存在し、神経根症状についてはジャクソンテストやスパーリングテスト、腰部神経についてはラセーグテストやSLRテスト、反射については深部腱反射や病的反射などがあります。その他にも、筋電図検査や神経伝導速度検査が用いられることもあります。
検査方法によって、被検者の意思と無関係に結果の得られるものと、被検者の意思に左右されるもの(被験者の応答や協力が必要なもの)が存在しますが、前者が客観性が高く、診断価値が高いと言われています。

画像所見や神経学的所見が認められる場合(例えば、神経根症状型であれば、画像から神経根圧迫が考えられ、かつ、圧迫されている神経の支配領域に知覚障害などの神経学的所見が確認される場合)には、医学的に「証明」できると言い易く、12級と認定される傾向があります。
他方で、画像所見は存在するが神経学的な異常所見が認められない場合、神経学的所見はあるが画像所見とは合致しない場合などには、医学的に証明できるとするには疑問が残り、14級にとどまる傾向があります。
画像所見も神経学的所見も認められず、自覚症状のみにとどまる場合には、非該当(後遺障害等級には該当しない)と判断される傾向にあります。

むち打ちによる後遺障害でお悩みの方は弁護士に相談を

既に述べましたとおり、むち打ち症のほとんどは後遺障害を残さずに治癒しますが、神経根症状や脊髄症状等が存在する場合には後遺障害が残る可能性があります。
しかし、神経症状は、画像検査において神経の圧迫のような所見が認められることは少なく、また、神経学的検査において特定の神経根や脊髄障害を示す異常が認められることもさほど多くありません。
また、加齢による頚椎症を理由として、事故との因果関係を否定されることもあります。
その結果、治療終了後(症状固定後)も症状に悩まされているにもかかわらず、後遺障害の評価を受けられていない方が数多く存在するように見受けられます。

むち打ち症は、交通事故によって生じる怪我として最も多いものではありますが、後遺障害等級を獲得するためには、医学的な専門知識が必要となります。
ケースによっては、弁護士が医師と面談し、新たな検査や意見書の作成を依頼することが必要な場合もあります。
むち打ちによる後遺障害にお悩みの方は、まずは弁護士にご相談下さい。