代車費用に強い弁護士

代車費用とは

代車費用とは、交通事故によって車両に損傷が生じた場合において、その修理期間中に代車を借り受けた場合の費用です。

通常、交通事故においては、よほどの軽微な事故でない限り、車両の修理が必要となります。
しかし、修理を依頼すると、修理期間中は車両を使用することが出来ず、普段車両を使用している様々な場面で支障が生じます。
例えば、仕事の通退勤で車両を利用することが出来なくなりますし、営業等で車両を使用していた場合にはそれも出来なくなります。
プライベートでも、買い物等に利用することが出来なくなるほか、子どもの送迎等にも不便が生じることがあります。
公共交通機関が発達した地域であれば、支障が小さく済むこともありますが、他方で、郊外等では大きな支障が生じることもあります。
このような場合には、修理期間中に代車を借り受け、その費用も損害として補償をしてもらう必要があります。

過失案件では代車費用は出ない?

相手方の保険会社とやり取りをしていると、「双方に過失が認められるケースでは、代車費用は出せない」と言われることが数多くあります。
そして、それは、過失割合が相手方90:当方10のような軽微な過失にとどまる場合であっても同様です。
このような保険会社の対応が一般的に横行しているため、被害者も、結果として、代車を借りることを諦めるといったケースが少なくありません。

しかし、「双方に過失が認められるケースでは代車費用は補償されない」などという法的ルールは一切存在しません。
双方に過失割合が認められるケースでは、その過失割合に従って損害の金額が公平に分担されることになります。
例えば、過失割合が相手方80:被害者20、代車費用が合計20万円という場合には、被害者に生じた代車費用の損害20万円について過失相殺がなされ、20万円のうち相手方の過失割合80%に相当する16万円の賠償を受けることができます。
したがって、双方に過失割合が認められるケースであったとしても、その過失割合に従って代車費用が減額されることにはなりますが、一切代車費用が補償されないというものではありません。

「双方に過失が認められるケースでは代車費用は出ない」という保険会社の対応は、自動車修理業者にも浸透してしまっており、賠償実務の知識・経験が乏しい修理業者の中には、保険会社の対応に従ってしまっているケースも見受けられます。
しかし、現実の損害賠償の法的ルールでは、代車の必要性が認められる限り、双方に過失が認められるケースであっても、相当な金額の代車費用については賠償の対象となりますので、ご注意下さい。

代車の必要性

代車費用が損害賠償の対象として認められるためには、代車を借り受ける必要性がなければなりません。
例えば、被害車両の他にも車両を保有しており、その保有する車両を使用することができたような場合には、わざわざ代車を借り受ける必要まではなかったと言えます。
他方で、代替車両が存在せず、現実に仕事や日常生活において具体的に車両を使用する必要があった場合には、代車の必要性が認められます。
特に、通退勤や仕事の営業等、業務上車両を使用する必要があった場合には、代車の必要性が認められやすい傾向にあります。
他方で、レジャー等で車両を使用していた場合には、ケースにもよりますが、代車の必要性が認められづらい傾向にあると思われます。

代車の相当性

代車は、どのような車両でも良いというわけではなく、被害に遭った車両と同等の車両であり、使用目的に照らして相当な車両に限られます。
例えば、被害に遭った車両が大衆向けの国産車であるにもかかわらず、輸入高級車を代車として借り受けたという場合には、輸入高級車の代車費用の全てが認められるわけではなく、あくまで相当な金額の代車費用しか認められません。
なお、賠償実務においては、仮に被害に遭った車両が輸入高級車であったとしても、使用目的に照らして輸入高級車でなければならない場合でない限り、代車費用はせいぜい国産高級車の限度でしか認められないといったことが数多くあります。
仮に代車として輸入高級車を借り受けようとする場合には、代車費用の全額が補償されない可能性が大いにありますので、少なくともそのような場合には事前に弁護士にご相談下さい。

代車の借受期間

一般に、代車費用は、1日当たりの貸渡金額が設定されており、1日当たりの貸渡金額に借受期間を乗じて算出されます。
このため、代車の借受期間が長期化すればするほど、代車費用は高額となります。
代車の借受期間が不相当に長期にわたっている場合には、通常修理に要する期間の限度の代車費用しか賠償の対象とならず、相手方の保険会社からは2週間程度の期間を主張されることが多いように見受けられます。
しかし、代車の借受期間が長期化した理由には、様々な事情が存在することがあります。
例えば、輸入車の場合には、国産車と異なり、部品の取寄せに期間を要することが少なくありません。
また、相手方の保険会社の対応が良くなかったがために(例えば、アジャスターの事故車両の検分に時間がかかったなど)、修理期間(代車の借受期間)が長引くこともあります。
さらには、同じ修理であっても、修理業者の繁忙期(例えば、積雪地域の冬季期間など)には、修理が完成するまでに通常よりも期間がかかることもあります。
代車の借受期間が相当であるか否かは、これらの具体的な事情を踏まえて判断されなければなりません。

代車費用が問題となる場合には弁護士にご相談を

代車費用については、「双方に過失が認められるケースでは代車費用は出ない」などといった保険会社の対応に見られるように、未だ適切な補償がなされていないケースが多いように思われます。
そして、実際に代車費用を損害賠償として請求するにあたっても、代車の必要性や相当性、借受期間といった専門的な争点が問題になりがちです。
弁護士が取り扱う交通事故案件の中でも、代車費用等の物損関係は、弁護士の経験の差が現れやすい分野であるように思われます。
代車費用が問題となる場合には、代車費用に強い弁護士にご相談下さい。